2015年8月11日火曜日

HP Stream Mini 200-020jpは動画エンコードPCとして使えるのかをレビュー

今回はPCのレビューです。
・・・といっても僕が買った物ではありません。
僕の知り合いの「M」のPC(HP ProLiant ML115 G5)然起動しなくなり、原因を調べようにも電源が入らないのでどうにもできず、買い換えることになりました。
しかし、MにはPCを買い換える予算はほとんどなく、3万程度のノートPCすら買えません。
いろいろ探した結果、HP Stream Mini 200-020jpというPCを購入しました。
モバイルノート用の省電力CPUを搭載した、デスクトップPCというよりはノートPCからバッテリーと液晶を取り除いたようなスペックで、
なにより安いのが魅力。(amazonで送料込み26000円)
今回は、このHP Stream Mini 200-020jpが動画エンコードPCとして使い物になるのかをレビューしてみました。

これがHP Stream Mini 200-020jpです。外見はタッパーみたい格好と色で、サイズも小さく一瞬見ただけではこれがデスクトップPCとは思えません。


Mが使っていた前のPC(ML115 G5)と比較すると一目瞭然。超省スペースです。
スペック表はここに書くのが面倒なので以下のURLを参照してください。
http://h50146.www5.hp.com/directplus/personal/desktops/dp_stream_mini200_15spr/

CPUについて
HP Stream Mini 200-020jpのCPUはCeleron 2957U。このPC以外にもっと安く、もっと省電力なAtom 3735Fを搭載したスティック型のPCや中華製激安PCもありますが、2957U以下の性能に加えて排熱の問題や拡張性を考えると今回は選択肢から外れました。


2957Uの性能は他のCPUで言えばCore2duo E6600とほぼ同等。E6600が出た2006年なら十分な性能でも今は2015年。どれだけストレスなく動いてくれるのか・・・。
ちなみにMの使っていた前のPCのCPUは「AMD Athlon X4 620」※というCPUで、性能は2957Uのほぼ倍ということになります。
※もともと別のCPUが載っていましたが、載せ換えています。


しかしTDPを比較すると2957Uは15W。X4 620が95Wなので、省電力化には期待できそうです。
性能がほぼ同じE6600が65Wということを考えると、ここ数年でワットパフォーマンスが驚くほど改善されていることがわかります。
(TDP=消費電力ではないのであくまで目安ですが・・・)

メモリについて
真ん中(mSATA)の左にメモリスロットがあります。

1枚だけ増設できるスロットがあります。メインPCとして使う場合は2GBだとかなりきついので増設できるのはかなりのメリットだと思います。
※増設には低電圧版DDR3が必要になります

その他について
ストレージは32GBと極端に少なく、メインPCとしては全く足りませんが、2.5インチのHDDを増設できるのでこれで多少は使い物になるはずです。
増設の説明書までついているので、初心者でも取り付けができます。
また、4つあるUSB端子すべてがUSB3.0対応なので、外付けHDDでもそれなりの速度が出せるのも大きなメリットです。

実際に使ってみて
補償対象外になりますが、メインPCとして使うため
メモリ:2GB→4GB
ストレージ:SSD 32GB→SSD 32GB+HDD 320GB
に増設した状態でのレビューになります。

haswell世代のCPUとはいえ、モバイル向けの省電力CPUのため、なにをするにしても今時のPCと比べると多少のもっさり感があります。
立ち上げの時間やアプリの起動速度は、(32GBとはいえ)SSDのおかげでとても早く感じますが、Chromeブラウザで高速スクロールなどをすると若干もたつきます。
特に、ながら作業をすると最近のPCではみられなくなった画面が固まる現象が時々発生するため、ヘビーな使い方をする方はイライラすること必至です。
逆に言えば、じっくりネットを見たり動画を見たりするだけなら特に問題もなくできます。

さて、Mのここ最近のPCの使い道は、年賀状の印刷以外は動画のエンコードがほとんどであったため、2957Uでは完全にスペック不足で本来なら選択肢から外れていたところでした。
しかしこのPCにはQSV※という方式のエンコードに対応しているため、それが購入の決め手となりました。
※簡単に言えばCPUでやっていた動画の変換をGPUで処理する方法で、CPUが非力でも高速に動画をエンコードすることができるハードウェアエンコードの一種。

2957Uに限らず、非力なCPUでのQSVの情報がほとんどネットにないため、ここに結果を載せておきます。
(詳細の情報は集めていませんでしたので適当な結果になってしまっていますが)

変換前:1440x1080 mpeg2_ts 30分→変換後:1280x720 H.264 30分※X4 620の30FPSはまだPCが元気だったころを思い出して書いた曖昧なものなので目安としてください
さすがQSV。性能はX4 620の半分になっているはずなのに、MediaEspresso7を使うと圧倒的大差がつきました。
HandbrakeではQSVを使用しているのにも関わらず常にCPU利用率が100%になっていたので設定ミスか、ほかの原因があるかもしれません。
MediaEspresso7はCPU利用率が90%で落ち着いていたためQSV本来の性能が発揮できているようですが、画質フィルターをひとつでもかけるとCPU利用率が100%になり変換速度がガクっと落ちてしまいました。
画質はHandbrakeはQSVにしてはほぼ問題なく、MediaEspresso7は高画質だとHandbrakeより少し落ちる程度で、高速変換は個人的には常用に耐えるものではありませんでした。

消費電力について

ワットチェッカーで測定。HDD・メモリ増設後。
とてもPCとは思えないような数値が出ました。
近くにあった扇風機を測ると40Wでしたので、扇風機の半分以下の電力で動いています。

ワットチェッカーで測定。奇跡的に電源が数秒だけ入ったのでそのときに測定。
ダメもとで電源を入れると、壊れたはずのML115 G5が数秒だけ動いたのでそのときに計測してみました。
BIOSすら出ない状態での測定なのでこれもまた目安程度にはなりますが、それにしても桁違いの差がついています。
これでエンコードしていたら、170Wまでいっていたかもしれません・・・。

HP Stream Mini 200-020jpは動画エンコードPCとして使えるのか?

画質が多少劣化してもいいなら問題なく使えることがわかりました。
QSV様様です。
消費電力がPCとは思えないほど低いので、寝ている間に時間をかけてエンコードしてもいいかもしれません。
省スペースで省電力。十分な拡張性。なのに動画エンコードはQSVでサクサク。このPCが26000円程度で手に入ってしまいます。
動画エンコードをするために高性能なPCを組む時代も終わりなのかもしれません。